「乳がんサバイバーとして、いま不安な方の役に立ちたい」

株式会社 明和企画 
取締役・アドバイザー 武田さわ子さま

JR戸塚駅から車で数分、閑静な住宅地にあるウイッグサロン「ブリリアントブリーズ」さんへうかがいました。

社長ご夫妻はともに広い交友関係をお持ちで、いつも当店の花を大切な方へのギフトにお使いいただいています。

ご自宅2Fにあるサロンのアレンジメントは、送っていただいた写真とさわ子さんご自身のイメージでお作りしたものですが、この場の雰囲気にとてもマッチしていたので嬉しくなりました。
 


たくさんの蔵書に囲まれた落ち着く空間で、さっそくお話をうかがいます。

Q. まず、こちらがどういったサロンなのか教えてください。

はい、医療用向けのウイッグを扱っています。治療中の方が安心して来室できて、寛いで過ごしていただける場にしたいと思っています。

ある日突然、あなたはがんですよ、と宣告されて、それだけでもういっぱいいっぱいなのに、手術します、抗がん剤します、髪が抜けますよ、と次々言われる。お医者様は命を助けることが専門なので、もちろんそれが重要ですが、女性にとっては乳房がなくなるとか、髪が抜けてしまうというのもとてもショックなことです。

― さわ子さんご自身もがんサバイバーなのですね。

そうです、8年前に乳がんの手術をして抗がん剤治療をしました。そのとき良いウイッグと出会ったことで治療の辛さが軽減できたので、その経験を広く伝えたいと思い、アピアランスケアとしてのウイッグサロンをひらきました。

― アピアランスケアとは?

治療にともなう外見の変化を少なくすることで、心理的、社会的な辛さを軽減しようというケアです。

ご本人がそのままで気にならなければいいんですよ。髪がない状態で表参道を歩いてみたけど誰も見てこなかったわよ、という方もいますから。

ただ、いつもの自分らしくないとか、ご近所の方に会いたくないとか、元気なときなら気合を入れて表参道も歩けるけれど、いまはがんばる元気もないとかね、そんなときにぱっとかぶってしまえると楽なこともある。

 

Q. おしゃれウイッグと医療用向けの違い、大手ウイッグメーカーとの違いなどを教えてください。

女性のおしゃれ用ウイッグは自分の髪があるときに使うけれど、医療用は主に脱毛した頭皮にかぶるものです。

抗がん剤治療で皮膚が荒れたり、敏感になっていたりするので内側のネットの素材や縫製も大切。

体調がよくないときでも自分で手入れができること、脱毛の状況によってサイズ調節が可能なことも治療中にはとても大切です。

 

大手か個人サロンかは、ご本人のお好みにもよるから、どちらが良い悪いというものではないけれど、ここではプライベートな空間で、その方に一番いい方法を一緒に考えて、同じ経験をした者として寄り添っていきたいと思っています。

― 中心の価格帯はどのくらいですか?

それはもうピンからキリまであって、数万から100万円近くするものもあります。当サロンでは品質を考えて10~20万円くらいのものを扱っています。各自治体によりますが、横浜市の場合は申請すると1万円の補助がでます。

 

Q. さわ子さんご自身のことを教えてください。

大学は被服科にいたのでファッション関係の仕事につきたいとオンワード樫山に就職したのですが、配属先はアート部門。デパートやギャラリーでのアート展企画や販売をしていました。

― お部屋にもアートがたくさん飾られていますね。

たまたまそういうことになってね。大学院では染織を研究していたので、そのあとは「横浜人形の家」の学芸員を5年ほどやりました。夫の転勤で名古屋に移ってからは服飾専門学校の講師をしたり。

― お家で専業主婦というわけにはいかない(笑)

そうなの。でもね、横浜に戻ってきたとき、子どもも大きくなったし、また仕事がしたいと思ったら、パソコンができないとどうにもならない時代になっていて、地元のパソコン教室に通ううちに、そこのインストラクターになって、職業訓練校のPC講師にもなって…

そんなとき、病気がみつかったのよ。

― もともと研究好きなところが、いまのお仕事にもつながりますね。

ひとと話したり、新しいことを学んだり、それをひとにお伝えしたりすることが好きなのね。

 

Q. いま一番楽しいことはなんですか?

長年仕事はしてきたけれど、経営者としてもピアサポーターとしても、まだまだ勉強中なので、セミナーや勉強会などに参加して、新しい知識が増えることと、それを通してたくさんのすてきな出会いがあること!

― それがさわ子さんの美容と健康の秘訣ですね。

そうね、あとは友達とのおしゃべりや美味しいものを食べること(笑)

― こころがけているファッションのポイントを教えてください。

医療関係や治療中の方とお会いすることが多いので、清潔感をを大事にしています。ベーシックな服装が多いので、季節感を大切に、気に入ったものを長く使う。

 

Q. 最後に今後の目標を教えてください。

・より使いやすい商品を提供できるようウイッグの改良を続けること。

・ウイッグを買っても買わなくても、ここへ来て話をすることで少しでも元気になっていただけるようなサロンにすること。

・医療関係の方や経験者の方から、あそこに行ってごらんとご紹介をいただけるよう、信頼されるひとになること。

いずれはウイッグだけでなく、ミニセミナーや講習会、お茶会などを開催して、おしゃれで居心地のいい場を提供したいと考えています。

 

Brilliant Breeze ブリリアントブリーズ

株式会社 明和企画
横浜市戸塚区戸塚町
http://www.meiwa-kikaku.co.jp


貴重なお話をありがとうございました。

経験者が寄り添ってくれることはとてもこころ強いことだと思います。

経験者同士が支えあうピアサポートの動きは少しずつ広がっているように感じますが、その一方で、家族や友だちに病気が見つかったとき、まわりはどうすればいいのかといったことはあまり語られていなようにも思います。

病名を本人に隠す時代から知らせる時代になっても、それを周囲にオープンにする人としない人があるように、感じ方はそれぞれなので、こうしたらいいよとはいえないのかもしれませんね。うっかり不用意なことを言ってはと、友人でも病気のことには触れないことが多いと思います。今回は深入りしてお聞きすることができて、いろいろ考えるきっかけとなりました。

製薬会社にお勤めで医療機関の顧問もされていたというご主人が代表取締役となり、さわ子さんを支えていらっしゃるのも羨ましい限り。ただ遊んで余生を過ごすのではなく、世の中のために役立つなにかをする。シニア世代の新しい生き方としての起業、カッコいいです。

わたしも花のチカラでそうした活動のお役に立ちたいと思っています。