
事業予定地 | 横浜市旭区の私有地(山林および耕作放棄地 約6,500㎡) |
事業内容 | 里山の整備、ウッドデッキ・バイオトイレ等の設置 耕作放棄地の市民農園化 |
事業の目的 | 生物多様性のある自然環境を保全し、それを有効に活用する その活動を通してコミュニティを構築する |
負の遺産!?
この土地は夫の実家のものです。20数年前、わたしはここに住んで3年でギブアップしました。サラリーマンの核家族で育ったわたしに旧家の嫁は務まりませんでした。
その後、祖父母、両親が亡くなり、いまは義姉が一人で住んでいます。先日、久しぶりに裏山へ行ってみると、あまりの荒れように衝撃を受けました。
長い間ひとが手を入れ、それを利用することで生態系を保ってきた里山は、手入れをするひとがいなくなると、自然に戻るのではなく、荒廃してしまうのだそうです。
近隣の住民の方からも、暗くて風通しが悪い、虫が多いから草を刈ってほしい、という苦情をいただいています。そうはいっても個人の力ではどうにもならず、長年放置してきました。

森のアーティスト
荒れた里山や耕作放棄地については、CO2削減、災害防止機能、生物多様性などのキーワードで近年大きな社会問題となっています。
役に立たず、税金だけかかる、でも先祖の土地を売るわけにはいかない、まさに負の遺産です。本来、素晴らしいものであるはずの自然の価値が生かされていないのはとても残念なことです。
これは高橋家の問題であると同時に、近隣住民の問題であり、日本中の多くの地域の問題でもあります。
これからの社会は、自然を共有の財産として “シェアする” という方向に進んでいくでしょう。
そこで、わたしたちは長年放置されたこの里山を整備して、自然と共生する暮らしのあり方を求める人たちが集まり、楽しみながら共有するための活動の拠点としたいと考えています。
いまの時代の課題や社会のテーマを感じたり、表したりするモノや活動が "アートである" と考え、クリエーターに限らず、賛同者をアーティストとし、場所をアトリエとしました。

ほんとうの整備とは?
ひとの手が入らなければ山は自然に戻り、環境にもその方がいいのだろうと思っていました。
もともとの自然林はそうでも、人工林や、長い間ひととともにあった里山ではそうはいかないのだそうです。
長年放置された里山は、手入れをされているところよりも生物多様性が低いことを横浜国立大学環境情報学府の研究グループが発表しています。
この秋には、そのグループがここで生物多様性の学術調査をすることになっています。調査は整備の後にもおこないます。同じ場所で整備前後の調査をする機会は少ないそうです。
でも、整備ってなんでしょう?
そもそも、いい山とは?

だいたいこれまでひとが良かれと思ってやってきたことであまり良かったことはないので、なにが正解なのか、だれにもわかりません。
山には神様が住んでいるといって奥までは荒らさず、ふもとのあたりを利用していた頃は絶妙なバランスがとれていたわけですね。
でもいまからまた、山へ柴刈りにいってかまどで調理するような生活には戻れないので、それを復元して維持するのは難しいでしょう。
ただなんとなく草を刈って間伐して、きれいにするだけではない、持続可能な整備と活用。
これまでのように大きな資本がどーんと入って画一的に進むのではなく、多彩なアイデアを自由に出し合い、これからの里山との付き合い方をそれぞれが試行錯誤し、小さな実験を繰り返す場が必要だと考えています。

活動計画
●整備作業については、フィールドでの経験豊富なボランティアの指導のもと、多くの方に協力頂いて草刈りや間伐を行い、その木材をフェンスやウッドデッキに使います。
●森のシゴトや樹木のプロフェッショナルを目指す人たちの研修の場とします。
●活用については、ウッドデッキをアトリエの拠点として、森を感じる暮らしの豊かさを提案するワークショップやイベントを企画します。
●主催したい人、参加したい人、ちょっとお手伝いしたい人などが集まり、多様なアイデアやデザインが生まれる実験の場とします。

地域活性化とは
そこに行けばなにか楽しそうなことがある、多様な人材の交流がある、地域の資源が生かされている、経済活動が生まれている。わたしたちは、それが地域活性化だと考えています。
このエリアは高齢化により、隣組などの古いコミュニティはすでに機能しておらず、新しく入ってきた住民との間には立場や世代の断絶があります。
ここでのわたしたちの試行錯誤は、近隣住民同士のあらたな交流を生み、地域の価値の再認識となり、ひいては横浜の魅力を向上させることにつながると考えています。
さあ一緒に、森のアーティストになりませんか。

